2021年4月28日水曜日

目と意識

網膜に映るものと心に映ること

目が見えない画家は言う 画家にとって目が見えないことはそんなに重大なことではないと。画家は目に映った物を描いているのではなく心に映った事を描いているのだと。

ところで目と脳の関係で説かれていることは、例えば右目に映ったものは左脳で処理される。反対に左目に映ったものは右脳で処理されるという。

それでは脳内で一方の左脳を凍らせ麻痺させて、右脳だけを動かしてみるとどのような現象が起きるのか。またその逆を行うとどうなるのか。

このような場合、凍って痺れた側の脳は機能せずそれに連動する目の方もまた機能しない(実際は網膜には事象は映る)。上のケースで言うと左脳を凍らせると右目に映った事象は脳内で処理されることはない。

仮に脳を凍らせフリーズさせることを左脳及び右脳それぞれに片方ずつ行うと脳内では左脳右脳がそれぞれ受け持ち範囲の仕事だけを独立した形で遂行する。そして凍って活動を停止された側の脳には目(網膜)に映ったものを伝えることができないので処理されることもなく自覚されることもなく記憶されることもない。

このように左右の脳が各々分断されたケースでは左脳と右脳はそれぞれが独立したものとして機能する。このことを平たくしてわかりやすく例え話を使って説明すると、仮に左脳の方に名前を尋ねると「私は宮本だ」と答えが返ってくる。そして右脳の方に名前を聞くと「私は武蔵だ」と応える。通常状態の両方の脳が機能している時に聞くと「私は宮本武蔵だ」と応える。これで左脳と右脳とはそれぞれが分担され受け持ちが違うというイメージがつかめたと思う。この場合、右脳の武蔵に苗字は何?と聞くと「知らん」と答えが返ってくる。

これらの現象は左脳右脳が独立させられている場合だけでなく左右を結ぶ脳神経などが傷つき通信不能状態に陥った時にでも同様なことが起きる。何らかの病気や事故が原因で頭の中の一部が壊れた場合の脳内では健常者には想像がつかないことが起こり得る。本人には自覚症状がなくとも実は問題が起きているケースもあり得ることを想像してしまう。

不思議なことだが脳内では次のようなことも起こり得るという。目が見えなくなった女性がいる。彼女は目が見えないフリをしている訳では決してない。カウンセラーがその女性にトランプのカードを広げて好きなカードを選んでくださいと言う。すると女性は私をからかっているんですか先生? 目の見えない私がどうやって好きなカードを選べるのか・・・と口では言いながら左の手で先生の手からスペードのジャックを取り出した。

この現象は彼女の脳内全体の機能から締め出された一部の箇所だけが全体と関係なく動いているのだという。「目の見えない私にカードが選べる訳がない」と言っている全体の脳はスペードのジャックを選んだ左手を動かした極小部分の脳の存在を知らない。それはちょうど武蔵の脳が宮本を知らないと言ってるように。


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