2020年10月6日火曜日

金融

 The Wolf of Wall Streetという本を読んでいる。レオナルド・デカプリオ主演で2013年頃に映画化された原作だ。実話を元にした小説で500ページを超える長編だ。現在1/4位を読み進めた途中だがこれまでのところは全然面白くなくこの本を買ったことを後悔している。文章のほとんどがスラングであり、読みにくく金の力、悪態、狂気、麻薬、売春などの退廃的な語彙で構成されている。ウォール街で働くビジネスマンについてはもっとスマートなイメージを持っていたが、それがある種の連中の吹き溜まりという印象に変わった。しかし折角買った本だから最後まで読んでみようと思っている。

これから先は本のことではなくリアルな話になる。最近の米国のFRBや日銀などの中央銀行による金融政策を見ていて個人的に不安を覚えている。それは実体経済を大きくかけ離れた金融バブルが進んでいることだ。これまで日本が経験したバブルは民間企業や不動産、金融機関を中心として発生したものだが、今回の金融バブルはそれとは違う。危険な金融商品を大量に抱えた金融機関が多く存在する。その危険な火薬を破裂させないために各国中央銀行が金融緩和(紙幣の増刷)を発動し火薬への引火を必死になって阻止しようとして起きているものだ。

10年ほど前にリーマンショックというのがあった。サブプライムローンという危ない因子を証券化したデリバティブ商品が大量に出回った。その危ない因子はほとんどの商品に忍び隠されていて一旦弾けるとどこまで影響を及ぼすのか計り知れないものだった。そのショックのせいで関係のない一般の人々の生活基盤にまで影響が及ぶ大きな不況をもたらした。そして国は痛手を負った金融機関の救済に莫大な公金を使った。この公金は税金であり、言い換えると銀行など金融機関の危ない投資リスクのツケを国民が肩代わりしたというものだった。そしてその時に金融機関も国民も二度とこのようなことが起きないようにしようと言ったはずだった。

それが再び起きようとしている。それも大規模に。日本だけではない世界の金融機関が危ないデリバティブ証券を大量に保有している。日本では銀行、信用金庫、ゆうちょ、農林中金などほとんどの金融機関が大量に保有しているという。中には資本金の何倍もの額を保有しているところもあるという。発生源はどこになるかわからないがこれらが弾けるとドミノになっているので世界中が弾けてしまう。世界の中央銀行はこれを弾けさせないために大量の紙幣を刷り続けこれに充てている。この金余りは何れ超インフレを引き起こすだろう。(穿った見方するとそれが狙いかもしれない→貨幣価値が下がると借金が棒引きになる)

現在、新型コロナの影響も加わり経済不況にも拘らず株高なのはこういうわけだ。不自然極まりない。こんなことはこれまでにはなかったことだ。これまでの経済は危ない因子の爆弾があればその都度自然破裂していた。公金を使いそれらを破裂させずに火薬庫に次から次に仕舞い込んでいる状態が現在である。しかしどこかの企業または国で火薬に引火して一旦爆発すると大量の公金が溶けるだけでなく、金融機関の倒産が連鎖する。

一部の専門家はこのバブルは何れ弾けると見ている。こんな不自然なことが長く続くはずがないと私も思う。もし破裂が起きるとリーマンショックや1920年に起きた大恐慌を遥かに凌ぐだろうと言われている。おそらく各国の中央銀行は破裂するまで金融緩和を続けるだろう。これから3年後くらいまでにハイパーインフレの兆候が出てくるかもしれないので少なくともローンなどを組んでいる人は国債などこれからの金利の動きには注意した方が良いかもしれない。

それでは何故に金融機関はまたしても危ない金融商品に手を出したのか、これは日銀によるマイナス金利政策またはそれに近い政策のせいだと考えている。金融機関は利子で商売しているので金利が低いと社員を養えない。多少リスクを負っても危ない商品に手を出してしまう。言い換えると日銀の政策が金融機関を窮地に追い込んだと言ってもいい。その金融機関の救済に日銀自身が国家を揺るがしかねない危ない橋を渡っている。日銀は一体何をやっているのか。


0 件のコメント:

コメントを投稿