2022年5月15日日曜日

The Sea


 2005年に英国ブッカー賞を受賞した作品である

ブッカー賞を得るくらいだから原語で読むには相当難しいだろうと思ってはいたが、果たして想像通りでわからない箇所がとても多かった でもそれは気にせずかまわずに読み進めた。

妻を亡くし喪失感の中にいる中年を過ぎた男が小さい頃に両親と共に過ごした夏休暇での思い出深い海辺の里に半世紀ほどの時間を経て再び訪れた。そこで当時知り合った別の家族との思い出、直接触れ合ったそこの同年代の子供達との出来事、亡くした妻のことそして自分のことについて著者の視点で言葉が綴られる 織り込まれていく言葉は詩的であり、比喩的であり、哲学的である表現の数々が終始続いていく。その時々の人間の所作ひとつひとつに著者の感性が言葉として入り込み、そして感性はその所作につながる背景にまで広がりそれらを細かく描写していく。

著者がアイルランド出身であるのでこの海辺の里はおそらくアイルランドのどこかだろうと思う。文章は全体として重く静かに流れて行く。最後に「えっ」と思わせる展開も手伝い読み終えて深遠な印象を受けた。


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